百万人の愛を選ぶか、一人の愛を選ぶか〜ロボットの選択〜
「カイ、おはようございます。申し訳ありません。自分でコーヒーを入れていただいてしまって…」

いつもはミカエラがカップにコーヒーを入れてカイに出すのだ。

申し訳なさそうにするミカエラに、カイは微笑む。

「いつもミカエラがしてくれているし、たまには自分でしないとな。それに…家事や子育ては本当なら……」

そう言ってカイは暗い表情になる。サバンナのことだとすぐにミカエラはわかった。

結婚してから、サバンナが家事をしているところをミカエラは見たことがない。掃除も洗濯も料理も、全てミカエラが今までやってきた。子育てもサバンナは「かわいい」と言うだけで、絵本の読み聞かせも手遊びなども全部ミカエラとカイがしてきた。

最近では、サバンナは家に帰ってこない日も多い。友達とバーなどで飲んでいるようだ。

「全くアイツは…」

カイは大きなため息をつく。キッチンが重い空気に包まれる。

「お父さん、ミカエラ、おはよ〜!」

「おはよう!」

重くなった空気の中に、ガブリエラとラファエルの明るい声が響く。それだけでこの場は救われる。

「おはよう。ガブリエラ、ラファエル」

「おはようございます。ガブリエラ、ラファエル」

朝食を四人で食べ、二人を学校へ見送った後、皿洗いをし、カイを仕事へ見送る。

掃除、洗濯、買い物をし、同じような一日が過ぎていくーーー。
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