百万人の愛を選ぶか、一人の愛を選ぶか〜ロボットの選択〜
特別な、大切な人はもうこの世界にいない。それならばこの世界に存在する意味はあるのかとミカエラは自分自身に問いかける。

「……私が、馬鹿でした……」

ミカエラの呟きに、ラファエルたちの顔 目が不思議なものを見つめるような目になった。

ミカエラは、やっとわかったのだ。ずっと自分がカイを好きだったのだとーーー……。

ミカエラの目の前がぼやけ、頰を温かい水が落ちていく。

それを見て、ラファエルたちが驚きの表情を見せた。ミカエラが、初めて泣いたのだ。

涙は止まらない。泣けば泣くほどミカエラの胸は、悲しみで満たされていく。

ミカエラは、ある決断をした。

「カイ、私もそっちに逝きます」

ミカエラはその場から走り去った。ラファエルやガブリエラが何かを叫んでいたが、足を止めることはできない。

ミカエラはそのまま家に帰り、鍵をかけ、覚悟を決める。

ミカエラは、心臓の部分に手を当てる。するとその部分が開き、ミカエラの体の中に入れられた人工心臓があらわになった。

この人工心臓を壊してしまうと、ミカエラはもう起動しない。人間でいえば、『死』だ。

これから先、大切な人がいない世界で何百人もの人から愛をもらっても、ミカエラの胸には何も響かない。ミカエラが欲しいのは……この世界にたった一人しかいなかったカイからの愛だけだった。
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