百万人の愛を選ぶか、一人の愛を選ぶか〜ロボットの選択〜
感情は、人間のように複雑ではない。感情はいつも穏やかで、泣いたり激しく怒ったりすることがない。

ミカエラは家事をするだけで、街へ買い物に行ったりすることはなかった。買い物などはポールやカイがしている。

ロボットでなければ、閉じ込められているようだと思うだろう。ミカエラは見た目は十七歳の女の子だ。年頃の女の子なら、おしゃれや恋を楽しむかもしれないが、ミカエラはポールに与えられた服を着て、サボることなく家事をこなす。

ミカエラは、ロボットなのだから。

ミカエラとカイが出会って二年が過ぎた。

カイは少し背が高くなった。ポールは相変わらず新しいものを発明している。ミカエラは、変わらない。

「カイは楽器を弾くのが上手ですね」

夕食の後、ミカエラが皿洗いをしている時、カイがポールに誕生日にもらったギターを弾いていた。まだもらって二ヶ月ほどだが、その腕はかなりのものだ。

「そうかな?…ありがと」

カイは照れ臭そうに笑う。ミカエラも微笑んだ。

そんなある日、洗濯物を干していたミカエラはポールに呼ばれた。

「ミカエラ、頼みたいことがあるんじゃが、聞いてくれるかの?」

「はい、何でもお任せください」

ミカエラは微笑む。ポールは安心したように話し出した。
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