百万人の愛を選ぶか、一人の愛を選ぶか〜ロボットの選択〜
「みんな!今日も来てくれてありがとう!!」

路上ライブ用に設置された簡易ステージで、カイとミカエラはお辞儀をする。ミカエラよりも小さかったカイだが、今ではミカエラよりも背が高くなりたくましくなっていた。

「それじゃあまずはこの曲から!『light』!」

ミカエラよりも大きな手が、ギターを弾き始める。すると、手拍子と歓声があちこちから響いた。今日もお客さんは多い。

ミカエラはいつも通りに息を吸い、歌う準備をする。ロボットなので、緊張することがない。


光浴びて街は生まれ変わる
音で世界を全てを変えよう
今日と言う日に名前をつけるなら
間違いなく「革命」とつけるだろう
照らす 光が 君を 僕を
理想郷へと導く


人間のライブなら、途中で休憩があったりする。しかし、ミカエラとカイのライブはずっと歌い続ける。休憩など必要ない。ミカエラは疲れることがないからだ。


小さな手を重ねて
鼓動が想いを教えてくれる
君の体を流れていく確かなもの
僕の中にも巡っていますか?
明日もまた会えますか?
会えたらまた話したい


盛り上がる曲は盛り上がり、切ない曲は音量や声の高さを調節する。ミカエラのそんな歌声に、ライブ中は誰しもがミカエラをロボットだとは思わなかった。
< 8 / 27 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop