未知の世界6

『かなは何科だっけ?』







大きな背中を見て歩いていると、声だけが聞こえた。







「小児科ですっ。」





『小児科には僕も少し詳しいよ。専門は心臓外科だけどね。』






さすが、忙しいせいか研修する者の専門すら頭に入ってないよう。
名前を呼ばれるだけでもありがたいか…。






『とにかくここは忙しいけど、たくさんの専門医がいる。だから困った時はとにかくそいつらから意見を聞いてやるんだ。いいか?』







「はいっ!」







『日本人は真面目だから、ぶっ倒れるなよ。』






「はいっ!」







一度も後ろを見ないジャクソン先生の背中に返事をした。






『そしたらまずは、さっき運ばれてきたこの患者を…』







早歩きで着いたベッドに寝かされていたのは、どうしたらこんな怪我を負うのだろうというほど酷い怪我をした患者。
バイクで事故してぶっ飛んだ先を通った車に跳ねられたようだ。






『かなならどうする?』






そう言われて、まずは患者のバイタルをチェック。一見酷くみえるけど、外傷は少ない。
内部が損傷してる可能性があるし…。








「止血して、CTを撮ります。」







『よし、やってみろ。』






相手は大人で外科の研修でしか対応したことないけど、子供であっても大人であっても同じ人間。






覚悟を決めて進めていく。






………………。















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