未知の世界6
『おはよう。』
えーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!
まさかのそこにいたのは、ジャクソン先生だった。
『お、おはよう…ございます。
え?え?先生?』
『どうぞ、ここに座って。』
私の指導係で仕事のパートナーで、そしてまさかのお父さんの友達で私のことを頼んだという先生が…
ジャクソン先生!?
っていうことは、指導係も仕組まれたことだったのか?
何だか色々な疑問が頭をよぎる。
『待ってたよ。なかなか来ないし、休みをとる気配もないから、こちらから声をかけた方が良かったのかと思ってたけど。』
「す、す、すいません…」
もう何も話せない…色々知られ過ぎて、ボロが出そうで。
『さっそく診察しようか。』
そんなことを言われるけど、体が動かない。
すかさず近くにいた看護師さんが私の後ろに回って服をめくる。
突然、恥ずかしさと、胸の傷を見られることが怖くなり…
『かなー。』
思わず服を下げてしまった。
『知ってる間柄だから?』
違う気もする。胸の傷を見られることの方が嫌…
なぜか分からないけど。
私のカルテを全て知ってる先生なんだけど、それでも嫌だと思ってしまった。
『分かったよ。首元から入れさせて。いい?』
日本と違って強制しない、大らかなところがアメリカなのか…?
首元からなら大丈夫と、頭を縦に振る。
『吸ってー吐いてー』
何度も繰り返すほど、丁寧な診察。
先生のリズムに合わせれなくて、
「ゲホッ」
と咳が出る。痰の絡んだ咳…。
『咳の症状は出てた?』
「いえ、特に何も。」
そう答えるけど、すぐに
『ん?何もない?本当に?』
心臓を聴診する先生が、いつもと違う表情で私を見つめてくる。
『心電図とるけど、何か異常なかった?』
そこまで言われて、ハッと気づいた。
昨日……そういえば。
「夜に…胸がちょっと痛かった
…ような。」
『それならすぐにここに来なくちゃ。隣なんだから。』
「はい…すいません。」
『かな、すいませんっていつも言うけど、謝って欲しいわけじゃないんだからね。』
「すいません…。」
また言ってしまった。日本語でもいう癖があるから、英語でも、そのまま気持ちを訳してしまう。
英語だからこそ、説明できない気持ちも、全てそれで返した方が楽だというのもあるけど。
『心電図に血液検査に………』
心臓に肺に、できる検査を全て指示して言い終わると…。
『かな、僕が主治医ということは、病気から逃げるなんて、させないからね。』
ニコッ
と笑った笑顔はもはや闇が隠されていた。
背筋が凍るような思いがしたので、すぐに目を覚ました。
こ、怖い…
やばい人に出会ってしまった…