未知の世界6

『君は本当に母親にそっくりな顔をしてる。冷静な行動と周りに気を遣えるところろ。




そして、綺麗なブラウンの瞳は父親。この瞳は一つのことに集中すると、周りが見えないくらい一生懸命。





君がここに来た時、一眼見てすぐに彼らの子供だと分かった。





あれは日本の大学の海外研修のことだね。君はどの生徒よりも真面目に取り組んでいた。下手したら、一緒に来た医師たちよりも。






早く病院に来て雑用をこなし、夜遅くまでここにいる姿を見て、君の母親『みな』のことを思い出したよ。






彼からも君のことは聞いていたけど、まだまだ僕が挨拶するには早過ぎると思って声を掛けなかったが、みなの子供だと思うと、こうやって手を差し伸べたかった。それだけ僕はみなのことが好きだった。』







そう言いながら、握ってきたかなの手を口に近づけてキスをする。  







するとかなの瞼が揺れ、目を開けた。







「ぁ………。」








『目が覚めたようだね。』






ジャクソン先生がかなの顔を覗き込む。







口元の酸素マスクを手で外そうとすると、ジャクソン先生に止められる。







『これから心電図をさせてもらうから、このまま天井を見ていて。』








ボーっとする頭でジャクソン先生に言われた通り、天井を見る、かな。


















しばらくして、心電図が終わると、再びジャクソン先生が椅子に座った。
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