未知の世界6

悶々してくると飛び出したくなるのがいつものことで。




気づくと病棟とは関係のないところに。






あれ?講堂?







講堂の前の廊下には、展示品が数々並んでいる。







ん?







あれ?







もしかして…







目の前に並んだ数々の賞は私の知っている人。






知っているというより、最近教えてもらった人。






お父さんと…お母さん…?





そこには私の初めて目にする両親の姿。






自分の目を一瞬疑うほど、私に似た顔の女性。





透き通るブラウンの瞳は日本人には珍しくって、過去に何度か日本人か聞かれたこともある私と同じ瞳をしているのは、お父さん?






賞を見る限り、心臓の細胞について研修したものばかり。





医師の私でも目が回りそうなくらい難しいことを研究してたんだ…。





そして心臓移植の数々。







お父さんとお母さんの助けた人たちは、今も生きてるのだろうか…





そんなことをふと頭をよぎると、先日の患者を思い出してしまう。






『はぁはぁはぁはぁ…』






ダメダメこんなところで…落ち着かないと。





自分を落ち着かせるために深呼吸…







< 146 / 163 >

この作品をシェア

pagetop