未知の世界6
講堂に着き、ジャクソン先生が目にしたのは…
胸元を強く掴むかなの姿。
『かな!』
全速力で駆けつけ、かなの脈を確認しながら、声を掛ける。
『かなっ、落ち着いて。ゆっくり、ゆっくり深呼吸。』
背中をさすりながら時計を見る。
心臓ではなさそうだと分かると、ホッとするジャクソン先生。
「はぁはぁはぁはぁはぁ…」
次第に落ち着いていくかなは、相当苦しいのか、目には溢れる涙。
『そうだ、落ち着いて。』
かなの前を確認すると、なぜ苦しくなったのか理解できた。
『初めて…だよね?
写真見たの。』
そう尋ねると息を整えながら頷くかな。
『一緒に見るべきだったね。』
落ち着いてきたところで、
『でもなぜこんなところにいるの?
患者さんっ!?』
落ち着いた表情から次第に厳しい表情のジャクソン先生に、かなは目をそらす。
『聞いていた以上の素行の悪さに驚くよ…。』
「…ごめんなさい。」
『謝るくらいなら大人しく部屋にいなさい。』
そう言うと、かなを抱き上げるジャクソン先生。
「いや、あの…大丈夫ですから。」
『ダメだ。
これから検査。』
大きな体のジャクソン先生に、痩せたかなの体は軽々持ち上げられた。
途中、廊下に設置された車椅子で部屋に向かった。
その後、検査の準備ができるまで、かなはジャクソン先生に再びお叱りを受けた。