未知の世界6
ファイルを開いて一番に目に入ったのは、お父さんとお母さん、ジャクソン先生に孝治さんのお父さんの名前…。
これって…
顔を上げるとジャクソン先生が頷く。
『まさかこれを、君にすることになるとは思ってもなかったよ。』
一枚ずつ資料をめくっていき……
何時間かかったのか…
読み終わる頃までそばにいてくれたジャクソン先生。
「ふー…」
『はい』
と出されたのは水の入ったペットボトル。
手に取って口にすると相当喉が乾いていたことがわかった。
「ありがとう…ございます。」
水のお礼を口にする。
『どうだい?この研究について。どう思う?』
ファイルに書かれていた内容はものすごい高度な研究で、私が産まれる前から行われていたものだった。
研究途中でお母さんの名前が少なくなっているのは、きっと私が産まれたからだろう。
そしてその研究は、私が産まれるまでに完成していて、これから治験に入るところだったことがわかる。
その当時治験をした患者さんの予後もしっかり記載されている。
その後お父さんとお母さんの名前が出てこないのは…
そう思うと、次第に胸がギュッとなるのがわかった。
『かな?大丈夫か?』
胸元をきつく握りしめる私に、慌てて駆け寄るジャクソン先生は、すぐに酸素マスクを用意してくれる。
すかさず胸元に入れられる聴診器。
「はぁはぁはぁ…」
少しずつ落ち着きを戻していくけど、
ジャクソン先生の聴診器は離れない。
日本にいるお父さんと一緒で、まるで心電図でもとってるかのような聴診の仕方。
もしかしたら、お父さんもお母さんもこうだったのかな?
そんなことを考えられる頃には胸も呼吸も落ち着いていた。
知らない間にやってきた看護師さんに、点滴までされて。