未知の世界6
『着いた〜!』
途中休憩しながらも病院を出て2時間後には着いた温泉宿。
山中にあるだけあって、私たちの住む街に比べたら2度くらい、いやもっと低いのではないかと思うほどひんやりしている。
建物を見るだけでここを選んで間違いないと思えるほどの風格のある佇まい。
早く中に入りたい私は幸治さんの荷物も手にして車を降りた。
『かな、それは俺の役目だから。』
ハハ、と笑いながら私の持つカバンを軽々と受け取り、先に温泉宿に入って行く。そんな優しい気遣いに心がホッコリしつつも、置いていかれないように着いて行く。
宿に入って仲居さんに快く迎えてもらうと、部屋に案内された。
一通りの説明を聞いて、仲居さんが出て行くと……。
『あぁ〜。』
と畳の上に大の字になって寝転ぶ幸治さん。普段家には畳がなければ、床の上に寝転ぶ姿も見たことないので、ついフフっと笑ってしまった。
手招きされて幸治さんの延ばす腕を枕にして、隣に寝転ぶ。
そして瞬時にきつく抱きしめられる。
『あぁ、幸せ』
かな。好き』
よっぽど疲れていたのか脱力しながら言う愛のセリフを本当に幸治さんが言ったのか、少し疑問に思って顔を上げると、
『このまま、風呂に入るぞ。』
そう言うが早いか、なぜか私の服を脱がせ始める。
えっ?えっ?
「じ、自分でっ!」
『ダメだ。俺がやりたいんだから。』
うわぁ〜。もう完全にスイッチ入ってる。こうなったら止められない。
部屋の外にあるこの部屋専用の浴室に、抱き上げられたまま向かう。
恥ずかしい…
二人で裸とは言え、さすがに抱き上げられるのはきつい。けど、抵抗できるわけもなく、こらから入るお風呂にドキドキと胸が高まる。
掛け湯をして、ゆっくり湯船に浸かる。
「あぁ〜、気持ちぃ」
つい気が抜けて、変な言い方になってしまった。
それにさらにスイッチの入った幸治さんが、背中から強く抱きしめて、身体中を撫で回しながらキスをする。
そんなこんなで付いてしまったスイッチは、すぐに消える訳もなく。
何度も湯船でフィニッシュを迎えた頃には、私の視界がグラっと揺らいだ。