未知の世界6
……あれ?
目を開けると見慣れない天井…
『起きたか?』
覗き込んだ顔は幸治さん。
浴衣……
あっ、温泉に来てた…。
『はぁ、悪かったな…。』
申し訳なさそうな顔の幸治さんが、私の額に手を伸ばし、知らない間にのっていたタオルを取り外した。
「えっと…」
宿に来てたことは覚えていて、その後は……
とゆっくり思い出したところで、お風呂の中でのことが鮮明となり顔が熱くなった。
『一応熱、測って。』
と言われて目の前に体温計が差し伸ばされるけど、すぐには動けない。
『いいや、俺やる。』
手際よく脇にすりこまれる体温計。測る幸治さんも、測られる私も慣れている。
『腹減ってないか?』
あ、そういえば…
「空きました。お昼……」
『もう昼だから、落ち着いたら外に行くか。』
家を出たのは早朝、病院に寄って宿は午前中からチェックインして…
既に一日が経ったように思えるのに。まだお昼前……。
一体、明日の朝までにあと何時間あるんのか…。いつもよりも長く感じる一日になるといいような…そうでもないような…。