未知の世界6

ようやく吸入をするころには、あまりの遅さに心配されたのか、気付くと岡本先生が来ていた。




『やってるねぇ。』





これからみっともないところに入ると言うのに……岡本先生まで来てしまった。





私の肩に手を置くと、




『さっ、やっちゃお、やっちゃお。』




というと勝手にボタンを押して、私にマスクを着けた。




うちの病院とは全く違う機械。
綺麗でもしかしたら出てくる薬も違って、いい香りでもするのではないかと期待してしまう。






そんな小さな期待は簡単に裏切られる。





「ゲボッ……」





うちの病院の機械と一緒……く、くさい。





「ゲボッ!ゲホゲホ!」




吸入始めた早々むせ始めてしまった……。





それでも必死に堪え、何とか終了した……。




マスクを置いて後ろを見ると……




岡本先生と椎名先生が、並んで私を見ていた。
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