未知の世界6
『今日はどうだった?』
帰宅して、寝室で幸治さんに聞かれる。
「前にもオペの見学やシュミレーターはやらせてもらっていたけど、今回は立場が違うので……緊張しました。」
『そうだろうな。自分が執刀するつもりで常に緊張感は保たないとな。
アイツには会ったか?』
「椎名先生ですか?」
『ああ。』
「はい、呼吸器内科で吸入もさせてもらいました。散々でしたけど……。」
『まぁ、そうだろうな。
無理しないで何かあったらアイツに言うんだぞ。』
「はい……。」
今日初めて会った限りでは……良い人でも悪い人でもないような。
ただ、今まで会ってきた先生とはまた違っていた。
うまくやれるといいんだけどな。
『ん?どした?』
顔を覗き込んできた幸治さん。
「あ、いや。あの……椎名先生ってどんな人でしょうか?」
『うーん。
どんな奴かな…。
仕事はできる奴だよな。』
仕事は……って。それ以外は一体どんな方なのか、もしかしたら幸治さんの大親友で、これ以上聞いたら失礼かとも思って……このくらいに。
『まぁ、少しの間のことだしな。お前が無理しないように。』
そう念押しされて幸治さんは布団に入った。
まぁ、どんな人かは自分で見て考えよう。医者としては悪い人では決してないだろうけど。
ただ、医者として悪い人でなく、仕事熱心だと、私は辛いのだけど。
トホホ……と思いながら、私もベッドに潜った。