未知の世界6
翌日、第二病院へ出勤すると……
『かなちゃ〜んっ!電話っ』
当直明けの先生が私に向かって手を振っている。
私の近くの電話に転送され、受話器を取ると。
『おはよ。吸入の準備できてるから。』
プツン……
その一言で電話は切れた。
これは椎名先生だよね……。今から吸入って、聞いてないんだけどな。
あと三時間後にオペが始まる。
その前にカンファレンスだってあるのに…
どうしよう。
『おはよう、かな。どしたの?ブツブツと。』
はっ!?
心の声が漏れてた?
出勤してきたたけるに不思議な顔をされる。
「あのね……ここの病院で吸入を担当してくれることになった先生から電話がきて。吸入の準備できたからって。」
『そうなの。行ってきたら?』
簡単に言うな…。
「でも、これからカンファレンスの後にオペだし。」
『すぐに終わるでしょ、吸入。それに、岡本先生には僕から伝えたおくよ。』
「う、うん。ありがとう…」
たけるは椎名先生の長い診察を分かってないから…
そんなことを言ってもしょうがないので、急いで医局を出た。