未知の世界6
『ふぅ〜疲れた。』
隣で手を洗うたけるが、息を深く吐いた。
「間に合って良かったー。」
執刀医が入る前にオペ室に入ることができたことを思い出して、一日の始まりとしては好スタートだった。
『早く終わったしな。』
「うん。いつも昼を過ぎることばかりだけど、今日のオペは速かったね。」
『そしたら、昼は一緒に行けそう?』
「うん、そうだね。」
ここに来て、昼休憩をちゃんと取れたのは今日が初めて。
『朝、岡本先生から一緒に昼ご飯に行かないかって誘われてるんだ。』
「え、それなら私は遠慮するよ。」
『違う違う。かなも一緒に。』
「そうなの?じゃあ、ご一緒させてもらおうかな。」
そうして私たちはシャワーをそれぞれ浴びて医局に戻った。
「あ、これ岡本先生から……」
机の上の資料をたけるに見せると、さすがに頭のいいたけるでも顔が引きつっていた。
『あ、後でお礼、言わなきゃ。』
こんな風に資料を分けてくれる先生は、なかなかいない。
病院が違う私たちに、良くしてくれていることはとてもありがたいとこと。
ただ、研修期間内に…この量を読破できたら、たぶん、医者にはなっていないだろう……。
そんな唖然とした私たちに、
『終わったかー?メシ行くぞー。』
岡本先生に声をかけられ、我に返ると慌てて財布を持って医局を出た。