未知の世界6
ガチャ
寝室で着替えていると、ノックもなく扉が開く。
『ただいま』
入ってきた幸治さんを見てホッと胸をなでおろす。
「おかえりなさい。」
『急に決めて悪かったな。』
今日のことを言ってる。
「びっくりしたけど、お母さんが来てくれて助かった。」
『あいつは親父たちのことも知ってるからな。ってか、俺よりも仲良いかもな。』
確かに仲良さそう。
「あ、泊まる部屋とか…」
『あぁ、それは大丈夫だ。
今朝綺麗にしてから出勤したから、っても進藤先生がほとんどそうしといてくれたんだけどな。』
そっか、それなら私のやることはお母さんの手伝いくらいかな。
『ってか、かな……』
私に近づいてくる幸治さん。
「え?」
突然接近されて、額に手を当てられ驚いて咄嗟に離れる。
『動くなって。』
少し怒り口調でまた近寄ってくる幸治さんは、私の額に手を当てる。
『……ん?気のせいか。』
熱でもある?
と自分で額を触るけど、熱はなさそう。
『疲れてるんじゃないか?』
「う〜ん、疲れてないと言ったら嘘かなぁ。でも、体はしんどいとは思わないかな……。」
うん、たぶん……。
『ま、今日なんかあっても、何とでもなるからなっ』
と笑う幸治さん。
確かに、お父さんと幸治さんだけじゃなくて、椎名先生もいるしね。
なんて話してると、リビングからご飯ができたとお母さんの大きな声が廊下に響いた。