未知の世界6

『かなちゃん、どうだい?研修の方は。大変だろ?』





食事が始まり、一杯目のビールを飲み干したお父さん。




「はい、でも知らないことばかりで勉強になります。」





『ハハハ、だろ?
研修受けるの辞めるって言い出すかなちゃんに、ちゃんと進めといて良かった。』




そんなことあったな……




と思うと恥ずかしくなる。





『どうして辞めようと思ったの?』






すかさず椎名先生が聞いてくる。





「その頃、体調があまり良くなくて…研修を受けても続けられそうになくて。」





『今より悪いってことか?そんな時がありながらも仕事をしてるなんて、見た目からじゃ考えられない強靭な精神力を持ってるんだな。』






驚いた顔の椎名先生に、さらに驚いた顔のお父さん。





『えっ?えっ?かなちゃん、調子悪いのか!?』





とボリューム高めのお父さん。






「い、いや…いつもと変わらないんですけどね。ハハ」







苦笑することしかできない。





『椎名の中ではかなの状態が悪いと思ってるけど、まあいつも通り喘鳴が聞こえるくらいで、大して悪くない。』





すかさず幸治さんのフォローが入る。





『そうかそうか、でも心配だな。無理しないようにね。』






「はい。」






と返事をして私の話は終わると、仕事の話をしたり昔の椎名先生と幸治さんの話をしたりと……聞いてても楽しい会話が繰り広げられた。
















食器が空いてきた頃、片付けようとお皿を手にすると、






『かなちゃんっ!いいのいいの。明日も早いから、今日はゆっくり休んで。』






お母さんにしっかり止められる。






「いえ、これだけでも」





とお皿を運ぼうとするけど、幸治さんにガッチリ止められる。






『疲れてるだろう?今日は早く風呂に入って寝ろ。』






そう言われては……と持っていたお皿を置いてお母さんに後をお願いして、お風呂に向かった。
< 43 / 163 >

この作品をシェア

pagetop