未知の世界6
もう一度布団に入って目を閉じたら、ゆっくり眠れる……そう願いも込めてベッドに横になろうとすると、寝室の扉が開く。
『……かな?起きてる?』
幸治さんが明るい廊下から暗い寝室に入ってくるのが分かった。
「は……い。」
『今廊下にいた?なんか声がした気がして……』
と言いながら部屋の電気を付けた。
「トイレに行ってました……。」
ぼーっとする頭と動きにくい体は、これ以上良くなりそうにないな…と思いながら布団に入る。
『ちょっと待て……。』
そう言う幸治さんが、私のそばに駆け寄り額に手を当てる。
『やっぱり……。』
そういうとベッド脇の棚から聴診器と血圧計を取り出して、抵抗するまもなく診察が始まる。
やっぱり体調悪いかな……
じっとしていると、幸治さんが
『今日はゆっくり休もう。明日も無理せず休みにしよ。』
「えっ!?大丈夫ですから……明日までには。」
『こんなに熱あって、治るわけないだろ。』
と知らない間に脇に挟まれた体温計を取り出して、表示を見せてくる。
37.8……
どおりで。
低体温の私には充分過ぎる高さ。
『氷枕持ってくるから、寝てろ。』
そう言われて目を閉じるけど、部屋の天井がグルグル回ってしまい、じっとしてくれない。