未知の世界6
結局たいして晩御飯を口にすることはなく、次に目が覚めると翌朝になっていた。
ボーっとする頭で考える。
……担当医って誰になる?
あれ?今回は喘息なのか?心臓なのか?
小児科ではないから内科で進藤先生なんだろうけど。
ベッドの頭にある担当医のプレートを見てみるけど、空欄になっている。
「あれ、いつも入院してすぐに入ってると思ったけど……。
昨日の進藤先生は特に何も言ってなかったし。」
なんて独り言ちていると、回診の連絡がナースコールで一斉送信される。
まぁ、進藤先生か石川先生だろうし。
なんて気楽な気持ちでいると……
ガラッ
入ってきたのは
「えっ!?」
『かなちゃん、おはよう。』
お父さんが看護師さんを連れて入ってきた。
『驚いてる驚いてる。』
看護師さんと笑いながら診察の準備を始めてる。
「えっ!?どうしてですか?」
『進藤くんだと思った?
今回は進藤くんも石川くんも担当患者がいっぱいでね。あの二人の次に君のことをよく知っているのが私と幸治だったけど、幸治は無理だから、まぁ僕も近親者だけど。
一番暇してるからね。』
「えっ?お父さんは担当患者は他にいるんですか!?」
『ほとんどいないよ。心臓病のVIPは僕だけどね。最近はずっとないかな。』
お父さんが担当医としてここで働くなんて…。なんか申し訳ないな。
『お父さんが担当だから、あまり暴れないようにね。』
暴れるって……。たぶん過去の脱走などなどだと思うけど。
『はい、じゃあ胸の音を聞かせて。』
そういうといつもは少し開いた胸元から入れる聴診器も、看護師さんによってしっかり前を開けられ聴診が始まった。
もちろんいつも通り長い……。
そしてウトウトし始めたところで、血圧を測られて体温をもう一度測られる。
さっき測ったのにな……と思いながら、睡魔に負けそうになっていると。
「痛っ!」
腕を見ると点滴が付けられている。
げっ!点滴!
身体中は冷えるし不便だし…好きじゃない。
毎度入院が長引くこともあって、点滴は必要な時にしかされてこなかった。
だけどお父さんは違うみたい。
『食欲もないだろ?貧血の薬も入れておくから。』
はぁ……
眠気が覚めたところで診察は終わり、看護師さんは部屋から出て行った。
『かなちゃん、熱がなかなか下がらないね。今日はここで心電図をとるから、お手洗いだけ済ませたらここに来てね。』
「はい……。」
担当医になると何か雰囲気の変わるお父さんに、すこし違和感を覚えながらも、言われたとおりトイレに向かった。
体も確かに熱いし、ボーっとするし。
少し眠い……。