未知の世界6
昨夜よりも食べられずに時間だけが進み、気づくと係の人が受け取りに来ていた。
「すいません、残して。」
『いいのいいの、病気の人が食べられないのは当然なんだからっ。』
調理担当風な係の人は、笑いながら答えてくれた。
食べ物を粗末にしてることは分かってるけど…。
いつも食べられないで終わる。
いつからこんなに食欲なくなったんだろうか…な。
入院を繰り返していて、体力が落ちて来た頃かな…。
また気づくと涙が頬を伝っていた。
お父さんに気づかれないように、涙を拭いて布団を肩まで掛けて、背を向ける。
朝の眠気はないんだけど…なんだか起きてることが辛い。
怠いのかな……。
するとスッと額に伸びてきた大きな手…。
お父さん……。
『かなちゃん、ちょっとごめんね。』
そう言いながら私の肩に掛かった布団を外して、パジャマの胸元から体温計を差し込む。
私も脇を上げる。
体温が測れる数分の間に、背中から聴診を受ける。
その静けさの中……私は眠気なのか、一瞬で意識を失った。