未知の世界6
『おーい、かなちゃーん。』
呼んでみるけど起きる様子はない。
体を軽く揺すってみても、起きない。
かなの手を布団から出し、時計を見ながら手首で脈を測る。
『ちょっと……乱れてる。』
ピーピーピーピー
すぐさま連続でナースコールをして、心電図等を部屋に持ってくるように指示する。
かなは内科の中でも疾患が多いので、入院時には必ず部屋に酸素マスクが常備されている。
そのマスクを顔に掛けて、看護師を待つ。
体温は40度と、低体温のかなには危険なくらいの高温……。
すぐに運ばれてきた心電図を設置して、指示した薬を点滴から投与する。
氷枕や氷嚢で全身の熱を下げる。
喘息が始まっても対応できるように、吸入器も運ばれる。
ナースステーションから連絡がいったのか、進藤先生も駆けつけてきた。
『どうですか?』
『今落ち着いてきたところだ。
10分前に意識をなくして、脈が乱れていたんだが、なんとか正常に戻ってきている。
ただ、体温が高すぎるから…それが心配だな。
今のところ喘息は出てないから、いいんだけど。後は意識がはっきりすることなんだが……。
今朝は微熱程度だったのに。』
そう言って大きな手が、かなの額に覆いかぶさる。