未知の世界6
お父さんから、スケッチブックで今の状態を教えてもらった。
幸治さんから叩かれて、ずっと何かがおかしいと思ってた。
看護師さんは病室に来ても何も言わないし。突然私に何かしようとするし。
みんなが私に無言で迫ってくる……。
声が聞こえてなかっただけだった。
それでも……また一つ病気が増えたような気もする。
このまま声が聴こえなかったら……。
私、医者に戻れるの?
いや、医者どころじゃない。
普通の生活に戻れるの……かな。
やっぱり私の人生は、波乱万丈で…良いことなんてあまりない。
こんなに辛いことばかりだから、少しくらいは良いことがあってもいいんだけどな、
さっきは、お父さんと幸治さんに一人になりたいとお願いした。
ホワイトボードを見て、思い出した。
音が聴こえないと、誰かがそばにいることが怖い。
今日みたいに突然幸治さんや看護師さんが手を出してくる。
それだけはやめてほしい。
だから、いっそ一人だと分かっていれば安心する。
だからこそ、一人になりたいとお願いしたけど、どことなく二人とも寂しそうだった。
寂しそうに感じたけど、今の私には自分のことしか考えられない。
そんなことを悶々と思いながら、目を閉じた。