未知の世界6
〜かなの寝ついたころ、リビングでは〜






『かなちゃん、いつもより元気なさそうね。』 





お母さんが心配そうにつぶやく。





『体調は入院前と変わらないくらい回復してんだけどね。メンタル面じゃないのか?』








と隣に座る孝治に話しかけるお父さん。





『…俺に言われても。』





二人から見つめられ、答えなくてはいけない雰囲気となり、口を開く。






『ちゃんと話し合わないと、いつまでもこんな状態のままアメリカ留学になるんじゃないか?
体調さえ良ければ早いうちに留学の話も来るだろうし。』







その話については初耳だったのか、孝治が驚いた顔をする。





『なんだ、知らなかったのか…。
まぁ、今日医局長が言ってただけなんだけどな。』







『そうか…。でも、それもありなのかも。』






今度はお父さんとお母さんが、え?という顔で工事を見る。






『少し離れた方が、お互い冷静にもなれるし。』







いつもより弱気な口調の孝治に、





『そんな…ただでさえ一人寂しく留学するのに、心の支えになれるあたながいなきゃ、かなちゃん向こうでやっていけないわ。』





お母さんが口を開く。






『そうだな…。今回はたけるくんとは一緒に行けないと思うし、うちの病院からは一人で行くことになったら、かなちゃんの身体のことも知ってる人がいなくなっちゃうだろうし。
ただでさえ、自分の体調は一番後回しにする子だから…。まぁお父さんの知り合いはたくさんいるから、話をつけておくことはできるけど。』






今度はお父さんに言われ、その場にいずらくなった孝治は、ソファから立ち上がり、そのまま入浴に向かった。
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