未知の世界6

それから日常の生活には少しずつ慣れていき、留学の準備も進めていった。
前回に比べて長期間になるため、服は暑い日の物も寒い冬にも耐えられるように用意した。
と言っても、ほとんど病院生活で通勤に使うくらい。




まいからはたけるから伝達された留学情報に従って、二人で買い出しにも行った。
そしてまいからたけるへのプレゼントも持たされた。





留学先で恥をかかないようにと、小児のオペだけでなく成人のオペにも参加させてもらい毎日忙しく過ごしていたところ、就業時間を過ぎた頃、進藤先生とお父さんが医局にやってきた。






『かなちゃん、もう終わりそう?』






出入り口に立つお父さんたちに、医局の全員がそれぞれ頭を下げる。






「ぇっと…まだです。」






そう答えながらこの病院の名誉教授でもあるお父さんと進藤先生の方へ駆け寄る。






『ちょっといい?』






そう言われて休憩室へ。







二人に呼ばれていいことは一度もないけど、大抵検診のことだと思う。
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