WORLD
「………八幡。」


その声の方へと千紘は振り向いた。


「…篠原?あ〜、ねぇ美波知らない?全然帰ってこないんだけど〜」


だらだらとゆっくり歩きながら篠原に近づく。

私は教室のドアからこっそりと顔を出した。

すると、篠原は一旦下を向き、ふぅと息を吐いてから千紘の方をきちんと見つめた。

流石にずっとへらへらしていた千紘も静かになった。


「…八幡。あのさ、俺、お前に言いたいことがあるんだ。」


千紘は急だったからか、びっくりしたように目を大きく見開いた。


「……何?」

「俺………」


トクンットクンッ


私が告白するわけじゃないのに、なんだかドキドキしてくる。
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