キミと私のひと夏の恋
かのん母親「もしかして、私までお世話にならせてもらえるのかしら?」

そんな事を満面の笑みで言われた。

俺は、その言葉を無視し歩いた。


俺の部屋の前につき、親父は俺の肩に手を置き頷いた。


ーガチャ


かのん「おかえり!どこ行ってたの?」


俺は黙って母親を招き入れた。

かのんからは笑顔が消え怯えきっていた。
そして、次第に呼吸が荒くなってきた。

「かのん。落ち着け。大丈夫だから。」

かのんには俺の声は届いてなかった。


母親「かのん。なにしてんの。ふざけてないで。」

かのん「ハアハア…ごめん ハアハア なさい…ハアハア」


俺はかのんには悪いと思いつつも母親はどんな行動に出るかソファに座り、伺っていた。

かのん「ハアハア…ハアハア…ハアハア…ハアハアハアハア」


かのんは、座って居られなくなりベッドに倒れるように横になった。

母親「何をしてるの。座りなさい」

母親は分かっていないのか、かのんを責め立てていた。


かのんは、ゆっくり起き上がり座った。

かのん「ハアハアハアハアハアハアハアハアハアハア」

母親「あんたは本当に恥知らずな子ね。」

かのん「ハアハアごめんハアハアなさい…ハアハア」

母親「聞こえない。」


そういい母親は手を振り上げた。


「やめろ!」


俺は流石に阻止した。

母親は、一瞬驚いた顔をしたがすぐに微笑んだ。


母親「いいんですよ。悪いことをした時はお仕置きが必要ですから。」


そういい、また手を振り上げた。


ーガチャ


親父「何をしてるんですか。」

母親「お仕置きです。」

親父「自分の娘が苦しんでいるのが分からないんですか?それでも、母親ですか?」

母親「苦しんでる?こんなの演技でしょう。この子はいつもそうでしたから。」

親父「分かりました。お願いします。」

母親「誰なの?」

親父「お医者様です。これが演技ならすぐにお医者様にバレますね。」

母親「いい案だわ。診てもらいましょう。」


母親は、自信あり気な顔で微笑んでいた。


医者「ちひろさん、こちらへ」


俺は医者に言われた通りにかのんに手を添え声をかけた。
次第に呼吸は落ち着いたが、発作に時間が掛かり過ぎたせいでどんどん呼吸が弱くなって行った。


医者「三田、そこの酸素早く用意して。」

母親「え?」

医者「かのんさんは、発作が長すぎたせいで呼吸が弱くなり酸素が必要です。今は意識も失っているので意識が回復するまでは酸素をしていた方がいいと思います。お母さん、1つ言っときますが、かのんさんは、仮病なんかじゃありません。」


母親は目をそらせた。


親父「目をそらすな。あなたのせいで娘さんは苦しんでいる。」

母親「そんな事私の知ったことじゃない!あの子が弱いだけよ!」


母親はそう叫んだ。


「ふざけるな!!!!今すぐ出てけ!!!!」


俺は、怒鳴った。

そして、母親はぶつぶつ文句をいいながら出ていった。


「ゔぅ…」

急に怒鳴ったせいか、胸締め付けられた。


親父「ちひろ!!!」

すぐに聴診器を当て、診てくれた。

医者「お父さま。大丈夫ですよ。ちょっと心臓がビックリしてしまっただけです。ちひろさんも横になって。少し休めばすぐ治まります。」


俺は、そのまま横になった。
そして、なるべくゆっくり呼吸することを心掛けた。


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