キミと私のひと夏の恋
ーゆうたー


ちひろは少し苦しそうに寝ていた。

俺はいたたまれなかった。


「ちひろ?大丈夫か?」

ちひろ「ん?ぁあ。」


ちひろは目を瞑ったまま答えた。


「病院に戻ろう。」

ちひろ「…」

「お前になんかあったら困るんだよ。だからお願い。医者に診てもらってくれよ。」

ちひろ「わりぃ。でも、それは出来ない。」


ちひろはゆっくり起き上がった。


ちひろ「俺、もう長くねーんだぜ?病院になんて戻ったらもう、死ぬまで出てこれねーよ。」

「…でも…。」

ちひろ「迷惑なのは分かってる。でも、お願い。もうちょっとだけ俺のわがままに付き合ってくれ。」

ちひろは頭を下げた。


「迷惑なんておもってねーよ。ただ心配してるだけだ。」

ちひろ「わりぃ。」

「ちひろお願いだから、無理すんな。」

ちひろ「ゆうた。俺は自分らしくいきてーんだよ。最期ならなおさら。でも…発作もひでーし、体力も落ちてきてる。だから、思い通りになんていかない事も分かってんだよ。でもな。出来る所までやってみてーんだ。」

「ちひろ…」

ちひろ「わりぃ。もう少し横にならせて。」


そう言い、ちひろはベッドに横になりまた眠りについた。

そんな姿を見ていたらこれが現実なんだと思い知らされた。



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