ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「あ。 ……初めまして、暮月陽太です。光輝に拾われるまでは、ホストとして働いてました。父親に虐待されて死にかけた俺を、ある店のNo.1ホストが拾ってくれたんです。それで拾われて間もない頃に、16歳なのに働くように言われて。その人が通信制の高校に通わせてくれたので、一応高卒の資格は持ってます」
俺は翔太さんに自己紹介をした。
「高卒の資格はとらせてくれたのか。まぁだからといって、決して良い義親だとは言えないけどな。子供をホストとして働かせた時点で最悪だ。光輝から聞いたけど、お前は無精子症なんだろ」
翔太さんが俺を見つめながら、低い声で言う。どうやら、厳かに怒っているみたいだ。
「はい。それになったのはその人のせいじゃなくて、実の父親のせいですけどね。……中学の時から父親に言われてレンタル彼氏をさせられてたので、そのせいで生活リズムが不規則になって、栄養が片寄ったのが原因だと思います」
「手術は受けたいと思ってるんだよな?」
その話題になるのか。あんま話したくないな。
「……受けなくていいです。男性避妊の手術をしてくれる医者は限られてますし、手術をするには、親に会う必要があるので」
「ん? 二十歳なら、病院には親同伴じゃなくてもいけるぞ?」
俺は翔太さんを見て作り笑いをしてから、首を左右に降った。
「俺、身分証明書が何一つないんです。死にかけた時に保険証も親に内緒にして貯めてた金も奪われて。だから今病院にいったら、かなり高い治療費を払う羽目になるんです。……まぁ貯金はホストをやってたおかげで結構ありますけど、自分の体に大金をかけたいと思ってないので」
「なんでそう思ってないんだよ」
翔太さんは髪をいじりなら、眉間に皺を寄せて、不快そうな顔をしてぼやく。
「……俺は背中にものすごい傷跡があるんです。父親に殺されかけた時に、背中をナイフで裂かれたんです。それがあるから、無精子症が治ってもどうせ誰にも選ばれません」