ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「お、俺はただ、兄さんと、ずっと一緒にいたいだけで」
「俺もだよ。妖斗がいるならなんもいらない! だから頼む妖斗、自分を大切にしてくれ。……もっと自分を守ってくれ。俺も同じなんだよ、妖斗。俺もお前が死んだら自殺しちまうくらい、お前が大事なんだよ」
兄さんが俺を、貧弱な体で、必死に抱きしめる。
背中に回された腕に力が込められて、兄さんの爪が、俺の腰に食い込む。
兄さんの首に手を回し、額に頬を寄せる。
俺が少し力を込めただけでポキッと折れてしまいそうなほど弱々しい兄さんの身体は、あまりに儚くて、頼りがいがない。でもそんな兄さんの身体が、何よりも愛しい。――いらない。兄さんしか、いらない。兄さんがいれば、それだけでいい。
「……兄さんごめん、ごめんなさい」
俺が兄さんがいなければ何もいらないと思うのと同じように、兄さんも俺が大事だったのに。それなのに俺は、兄さんのために自分の人生を捨てようとした。
自分を、大切にしなかった。
「もういいよ。でも、その代わり、退院したらGPSつけるから。もう家出は禁止」
GPSなんて、 兄さん、ドラマでも見て覚えたのかな?
「わかった。でもでも、兄さんも、無理は禁止だからね。俺も兄さん監視する」
「ハッ。俺達、お互いのこと気にしすぎだろ!」
兄さんが軽快に笑いとばす。
――そう。
――俺達は、あまりに依存している。
お互いを、必要としすぎている。
でもそれも、仕方がないことなのかもしれない。だって俺達は実の両親を、喰蝶に目の前で殺されたのだから。
俺達は、お互いのために、お互いを縛り付ける。
まるで、見えない手錠を互いの腕につけるみたいに。
そうでもして互いを守らないと、生きた心地がしない。
――兄さんがいない人生なんていらない。
兄さんがいなきゃ、生きる意味もない。
兄さんがいるから、俺は今日も明日も生きていける。