ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
生きてるだけでいいよ。
「光輝、俺さ……」
「ん?どうした?」
喋るべきか喋らないべきか迷っていたら、いつの間にか口が開いていた。
首を傾げる光輝を見ながら、俺はぎゅっと唇をかみ締めた。
「……いや、なんでもない」
今話したら、卑怯だ。
約束を果たすって妖斗とちゃんと約束したのに、今更果たせないかもなんて話をその身内にするのは、卑怯にも程がある。
何より、言うのが遅すぎる。
取り返しがつかないところまで来てしまっているのに、今更言うことなんて、俺にはできない……。
本当は、言いたくて仕方が無いけれど。
「そうか?……兄さん、やっぱり昨日から変だぞ? 何もないって言うなら別にいいけどさ、そうじゃないなら、ちゃんと相談しろよ? ……あんま抱え込むな」
「ああ、分かってる」
俺は、ゆっくりと頷いた。
いつか話さなきゃいけないことくらい分かってる。でも、それでも今は、ただ時間が欲しい。これから俺があの約束をどう考えて、妖斗に何を言うべきなのか考える時間が、俺は欲しい。
守れないって言えないのは、ただのプライドなのかもしれない。それでも俺は、妖斗をガッカリさせたくないんだ……。
ごめんな妖斗、光輝、翼咲……。
弱虫な俺を、許してくれ……。