ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「たしかに総長は、少しそういうとこあるかもな」
朔が笑いながら言う。
「やっぱ朔乃もそう思うか」
翼にぃが笑いながら朔を見る。
「ああ。だって総長って、翼咲に頼るの下手じゃん。聖里奈と付き合うのにも、めっちゃ時間かかったって聞いたぞ」
朔は翼にぃから話を聞いていたのか。
「そうそう。めっちゃ時間かかった。しかもあいつ、聖里奈と付き合ってはいるけど、多分聖里奈と結婚する気はないし」
呆れたように首を振って、翼にぃは言う。
「え、そうなの?」
そんな話聞いたこともないけど。
「ああ。あいつは未だに聖里奈には自分よりいい男がいると思ってる。聖里奈なんてモテるんだから、本当にいい男がいたら、とっくにそいつと付き合っているに決まってるのに」
確かに、聖里奈はモテそうだよな。
「はぁ。全く。なんで俺の家族は自己肯定感が低いやつしか居ないんだ」
「翼にぃも自己肯定感低かったじゃん。……自殺未遂しようとするくらい」
腕の結合跡、まだガッツリ残ってるし。
「ハハ! 確かに低かったな。低すぎて笑えちまうくらい低かったわ」
朔が声を上げて笑う。
「うっ。……しょうがないだろ。だってあん時は、翔馬との約束が、俺の原動力になってたんだから。親に捨てられたら、その約束を絶対叶えられなくなるって、わかってたんだから」
恥ずかしそうに頬を赤くして、翼にぃは言う。
「翔馬は元気か?」
「ああ、元気だよ。なんでも最近空手の大会で優勝したらしい」
翼にぃが歯を出して、嬉しそうに笑う。
「へぇ、凄いじゃん。翼咲も早く追いつかないとだな」
「ああ。朔乃も妖斗も自主練付き合えよ」
「え、俺達空手ど素人だけど」
朔がいう。
俺は思わず朔と顔を見合わせた。
「そうだけど、お前らは白龍の副総長になるんだから、ある程度は喧嘩の腕あげないとだろ? だからまぁ俺の自主練に付き合うのが、喧嘩の稽古の代わりってことで」