ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~



 空我先生は俺を委員長室に連れてくると、棚の中からファイルを取り出し、そこから1枚の紙を抜き取った。

「これが、何かわかるか?」

 抜き取った紙をテーブルに置き、先生は言う。

 紙には、 何十万という金額と、支払いの注意事項が書かれていた。

「……わからないです」

 何となく察しは着いた。でも、怖くて、声が震えて、俺にはそうはぐらかすことしかできなかった。


「……お前の治療費の書類だよ。お前は10年眠ってた。その間の治療費は、お前と妖斗の両親の遺産と、妖斗の仕事で賄われてた。


 15歳の子供が、死に物狂いで稼いだ金で、お前は生き延びたんだ。その意味がお前にわかるか?」


 俺の顔を覗き込んで、机を叩いて空我先生は言う。


 ただどうしようもなく胸が締め付けられて、声がでなかった。


 こんな大金を、妖斗は何ヶ月も、何年も払ってたのか……?


「自分から体を壊そうとするな。無理をするな。……本当に死ぬぞ?

 ……妖斗の目を覚ましたお前を見た時の顔を忘れたわけじゃないだろ。……もっと考えてやれよ」


 頭ごなしに俺を睨みつけて、空我先生は言う。
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