ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~

裏社会の神様。



「じゃっ、じゃあ、一体どうしろって言うんですか!! 泣かせるってわかってても、あいつに全部話せって言うんですかっ!?」


 必死で叫んだ俺の頭を、空我先生は犬でも撫でるみたいに、ワシャワシャと撫でた。

「暁斗、泣くからなんだ。あいつはさー、お前が生きてるだけでいいんじゃねぇの?

ちゃんと話せばわかってくれる奴だ。それぐらいお前も知ってんだろ?」


「……それはっ、そうですけど」


 いつの間にか両目から零れていた涙を拭いながら、俺は言う。


 話せば分かってくれることくらい分かってんだ。


 それでも俺は、アイツを泣かせたくないんだよ……っ。

「まぁ、あいつがお前との約束をすげー大事にしてるのも確かなんだけどさ、だからって真実を教えないのは、間違ってると思うぞ?

……まぁ、喧嘩しなくても約束を叶える方法はあるにはあるがな」


 俺の涙を片手で拭いながら、空我先生は得意げに笑った。


「……何ですか、それ」


「暁斗、お前は白龍以外の誰にも悟られずに総長になるんだ。表は妖斗が総長。で、裏ではお前が総長をやる。つまり、喧嘩の指示や敵との交渉だけお前がやんだよ。

 喧嘩すんのは全部仲間に任せる。

 でも、本当に敵対する族なんかが現れたら、そん時はお前も戦わなきゃならないかもしれない。だから、白龍の中で一番強いけど、表ではいないように思われる総長にお前はなんだよ。


つまりは裏総長だ。悪くない響きだろう?」


 そう言って、空我先生はやんちゃそうに、八重歯を出して笑った。
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