ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~


「……たぶん妖斗はさ、俺が倒れてなかった時のことよく覚えてるから、俺が普通に総長辞めるって言ったら、信じないと思うんだよ。


だから、お前から伝えて欲しいんだ。その方が妖斗は信じるから」


 それは、そうなのかもしれない。

 でも、なんで?

 裏社会の神様になるって、喧嘩をしたいって、そう思ってたんじゃないのか?

 それなのに……。

 まさか、俺のせいか? 俺がやめろって言ったから、突然こんなこと言い出してるのか?


「………」

「あ、安心しろよ光輝。心変わりしたのは、別にお前が反対してきたからじゃないから。むしろ、お前には感謝してるんだ。いいきっかけを作ってくれたから」

 黙っていた俺を見て察したのか、兄さんは事も無げな様子で、そう言って笑った。


「え?」

 ――きっかけ?


「……元々、やるかどうか悩んでたんだ。だから、お前の言葉がやめるいいきっかけになったよ。やめようって、そう決心できた。


 妖斗に無駄に心配かけたくないし、降りるわ。それに、ただでさえ今治りかけなのに、喧嘩で悪化したらマズいじゃん?」


 そう言って、兄さんは口もとをほころばせた。


 ――おかしい。


 ずっとずっと、悩んでたんじゃないのか?


 総長になりたいけど、体のことがあったからずっと悩んでて、そんな時に裏社会の神様の話が舞い込んできて、それをやろうって決めたんじゃないのか?


 それなのに、あんな悩んでたのにやめるっていうのか?


 俺には、兄さんの本音が見えなかった。

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