ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~


 “総長になりたがってた”と言おうとしたのだろうか。


 泣きながら、妖斗はただ俺達の顔を覗き込んできた。

「……まだ喧嘩とかできる状態じゃないんだよ。大丈夫だ。兄さんはきっと元気になる。だから、総長もそのうち……「もういい」


 妖斗は頭を撫でて落ち着かせようとした俺の腕を払い除けて、早足で部屋を出ていってしまった。

「「妖斗っ!!」」

 妖斗の部屋のドアを開けると、そこでは、妖斗が財布をポケットに突っ込んで、パーカーを着ていた。


 それはまるで、今からどこかに出掛けるかのように。

 翼咲が家を出て行った時のことが蘇って、俺は心底ゾッとした。


「妖斗、どこに行く気だ」


 部屋を出ようとした妖斗の真ん前に立ち塞がって、翼咲は言った。


「どこでもいいでしょ。……暁にぃが元気で居なきゃ、俺に生きる意味なんてないんだよ」


 全てを諦めかけたかのような、暗い瞳をして、そう妖斗は言った。


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