ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
明日、晴れるなら~妖斗side。
思い出すのも、またするのも絶対に嫌だと思っていたくせに。
麗羅さんがママを務めている店に来た俺は、そこのドアの前で立ち止まって、そんなことを思った。
金がいる、金がいるんだよ。兄さんが元気になるには、きっと何百万と金がいるんだ。そんな大金を稼ぐ方法なんて、今も昔も、俺にはこれしかない……。
でも、やっぱり、少し怖いな。
「――自分が何したかわかってんのかっ!?」
ふと、売色のことを知った兄さんに殴られたことを思い出した。
俺がまた始めたって知ったら、兄さんはとんでもなく怒るんだろうな。
――それでもいい。それでもいいから。俺と兄さんの絆が無くなったって構わないから……。
パーカーのフードをかぶって、俺はドアを開けた。
「いらしゃいませ。ジュエリーへようこそ」
俺の元へ来て、そう言った麗羅さんの耳元に、俺は囁いた。
「麗羅さん、俺を……買ってください」
お願いです、神様……。俺の全部を賭けるから、どうか兄さんを、元気にしてください……。