ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「ただいまー」
料理が出来てから2時間ほどした頃に、紅葉さんが、鍵を開けて家の中に入ってきた。
「お帰りー、紅葉。お疲れ!!」
美桜さんが早歩きで玄関に行って、紅葉さんに声をかける。俺は慌てて美桜さんを追って、玄関にいった。
「ん。あー、眠っ。トア、これ洗濯機入れといて」
靴を雑に脱ぐと、紅葉さんは着ていたスーツのジャケットを脱いで、俺に放り投げてきた。
「わっ、いきなり投げないで下さいよ……え?」
顔にかかったスーツをぼやきながら取った直後、俺はYシャツ姿の紅葉さん見て、絶句した。
背中にガッツリ、バツ印のような縫合跡がある。
「紅葉さん、それ……」
俺は茫然としたように言った。
「え?」
「くっ、紅葉!」
美桜さんが紅葉さんを見て、眉間に皺を寄せる。
「あ。……くそっ、油断した。美桜、さき飯食ってて。俺風呂入るわ」
紅葉さんは唇を噛んでそう言うと、右側の廊下の手前にあったドアを開けて、俺から逃げるようにその中に入っていった。
「……はいよー」
紅葉さんをなんでもないような様子で美桜さんは見つめていた。