ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
悪寒がした。
こんなのはもう、上司と部下なんて言葉で現せる関係などではない。
奴隷と、主人だ。
「妖斗っ!……逃げろっ!!」
震えていた俺に向かって、再び、紅葉さんは叫んだ。
「でっ、でも……っ!」
「これは指示じゃない!命令だ!! お前はまだ、俺の部下だろうがっ!!」
その言葉に、俺は目を見開いた。
紅葉さんは、俺に何がなんでも生きろと言っているのだ。ここで美桜さんを二人で相手してたら、かなりの確率で美桜さんと、誰かが倒れる可能性が高い。
状況によっては、死ぬことすらありうる。
それがわかってるから、この人は………っ!
悔しさで心が折れそうだった。
「妖斗っ!――――」
その言葉を聞いた瞬間、俺は反対方向に振り向き、全速力でマンションを後にした。