ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
偽善は要らない。
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「紅葉さん!連れてきました!!」
下っ端が、LOVEの隣にあるマンションの階段の一段目に座り込んで、煙草を吸っている男に声をかけた。
「……お前ら、妖斗の知り合い?」
紅葉と呼ばれたその男が着ているスーツはズボンの膝から下が破けており、血が滝のように流れていた。
「「「……」」」
言葉を失っている俺たちを見て、紅葉さんゆっくりと口元を歯にかませた。
「フッ。悪いな、こんな姿で。……ちょっと上司と揉めちゃってな。お前らの知り合いのことで」
その言葉に、俺達は目を見開いた。
「まさか、妖斗のことですか……?」
紅葉さんの顔を覗き込んで、俺は言う。
「あぁ。あいつ逃がしたの俺だからな」
紅葉さんは口角を上げて、ほんの少し得意げに笑う。
「妖斗は今、どこにいるんですかっ!?」
「……さぁ。知らないな。ただ、妖斗がどうしてここからいなくなったのかなら教えてやる。そこからあいつの居場所を見つけられるかは、お前ら次第だ」
紅葉さんは煙草を吸い直すと、そう言って、妖美に笑った。
「でも、……その前に、俺の部屋いくぞ。これ、手当しないとだし」
「え、それなら病院行った方がいいんじゃないですか」
「……俺は病院行けないんだよ」
罰が悪そうに、紅葉さんは言う。
「え? ……もしかして、親関係っすか?」
翼咲がいう。
「さぁ? どうだろうな。とにかく行くぞ」
「……翼咲。それに、お前らもここは俺に任せて、妖斗探しにいけ。この人が本当に居場所を知らないなら、その方がいい」
隣にいた翼咲と下っ端たちを見て、俺は言う。
「……分かった。でも、光輝、話聞いたら、その後紅葉さんどうすんの? ……まさか、見捨てたりしないよな?」
不安げに翼咲はいう。親関係なのを否定してなかったから、心配なんだろうな。
「……俺の扱いも、雑にしたりしないよな?」
「ああ。紅葉さんのことは助けるし、事が落ち着いたら、お前にもちゃんと構うよ。なんてったってお前は俺の大事な弟だからな。 」
翼咲の頭を撫でて、俺は笑った。
「ああ!」
俺の言葉に元気よく頷くと、翼咲と下っ端たちは走って妖斗を探しに行った。