ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「俺は、なんですか?」
着後、紅葉さんはテーブルの上に置かれていた救急箱を、俺に向かって勢いよく投げた。
俺は慌てて後ろに下がって、救急箱をよけた。
「……手当は自分でする。さっさといけ」
紅葉さんは俺から目を逸らして、小さな声で言った。
「でも「ああもう、うるっさいな!!こういう時は、ほっときゃあいいんだよ!!いじめだって見て見ぬフリしてる奴が大半なんだから、それと同じようにすりゃあいいだろうが!!」
「……俺もそう思ってました。どうせ見捨てられるって思ってました。でも、翔太さん達は、父親から暴力を受けているのに母親に見捨てられて絶望していた俺を救いました!
俺は、それで思ったんです。見捨てる側になりたくないって!」
「だから?」
叫んだ俺を鋭い眼光で見つめ、紅葉さんは言う。
「えっ」
「お前の私情に俺を巻き込むな。迷惑だ。それに、助ける側になりたいなんて、ただの自己満だ。お前は俺を利用して、自分は父親や母親のような最低な人間じゃないと思いたいだけだ。たとえ本当にそうだとしても、血が繋がってるのは変わらないのに」
フっと、紅葉さんは、俺を小馬鹿にするように鼻で笑った。
俺は、そんな紅葉さんの胸ぐらを掴んだ。
「……それの何がいけないんですか。親を親だと思いたくないのは、ガキみたいですか」
「いや? そんなことを言うつもりは無い。俺も自分の親は好きじゃないからな。ただ、その感情だけでやることを決めるなって言ってんだよ。
……善意を尽くすのを優先しすぎると、自分を無くすぞ。救いたくないなら、救いたくないでいいんだ」
そう俺を諭すように紅葉さんは言った。