ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「俺は貴方を救いたいんですよ!」
「いや、違うな。お前は俺に恩を返さなきゃいけないと思ってるだけだ」
俺は、そっと紅葉さんの胸ぐらから手を離した。
……違う。違うんだ。
確かに、恩は本気で返したいと思ってる。でも、それだけではなくて、本気で救いたいと思っているんだ……。
それなのに、届かない。
紅葉さんは俺の言うことを聞く気がない。俺がどんなに否定しても、紅葉さんはまた諭すように何かを言ってくるだろう。
それなら、一体どうすれば届くんだ……。
俺は、この人を救いたいのに………。
「……たとえ恩がなくても、きっと俺は貴方を助けようします。それの何がいけないんですか」
胸ぐらから手を離して俺が紡いだのは、あまりにも馬鹿正直すぎる言葉だった。
「八尾、………俺は、独り立ち出来ないんだよ。俺には、いつかお前らの家から出てくことができない」
紅葉さんは、辛そうに顔をゆがめていう。