ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「……帰ろう、妖斗」
妖斗の頭を撫でながら、俺は囁くように言う。
「……うん」
妖斗は俺の体から手を離し、涙を拭う。
「本当に、泣き虫だな」
俺はポケットからハンカチを取り出し、それで妖斗の涙を吹いてやった。
「……うっさい」
「ん。じゃあ、帰るか」
罵倒してきた妖斗の頭をもう一度撫でてから、俺は膝に手をついて立ち上がろうとする。
だが、すぐに立ちくらみのようなものに襲われ、俺は思わずブランコにもう一度座り込んでしまった。
「兄さん? どうしたの?」
あまりに予想外で、心底ゾッとした。疲れたのか……?
「なんでもない。もう夜中だからな、疲れただけだろ」
「えっ、本当に大丈夫? 腕貸すよ?」
妖斗が俺の手を引っ張り、座っていた俺の体を起こし上げる。
その直後、まるで糸が切れたみたいに体の自由が効かなくなり、俺は妖斗の体の上に倒れるように覆いかぶさった。
「うわっ!? ……兄さん? 兄さん!!」
耳元でその声を聞くのを最後に、俺の意識は途切れた。