ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「なぁ光輝、美桜を恨まないでやってくれないか。妖斗を雇ったのはただの好奇心だと思うから本当に悪いけど。あいつは……根っからの悪い奴じゃないんだ」
「……」
まるで心の底からそう思っているかのような憐憫さがある言い方だった。
「高校生を雇うなんてどうかしてますよ」
「そうだな。どうかしてる。けど、俺はその異様さに助けられたから。……その異様さがなかったら、俺はあの日死んでたから」
紅葉さんは、また空を見上げる。
「……頼む、光輝。あいつを許してやってくれ」
紅葉さんはベッドの上で正座をして、頭を下げた。
土下座だ。
「く、紅葉さん、正気ですか? だって、紅葉さんにそんな怪我をさせたのは、その美桜なんですよ?」
動揺で声が震えた。紅葉さんは足だけでなく腕と腹も怪我をさせられたみたいで、両腕に包帯を巻いていて、長袖のチャックシャツの裾からも、包帯が見え隠れしていた。
それなのに……。
「……そうだな。けど、あいつは俺の命の恩人だからさ。頼む、あいつを地獄に堕とそうとしないでくれ。復讐しようなんて、考えないでくれ」