ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「お前ら、本当に仲良いな」
紅葉さんは俺たちを見て、真底羨ましそうに笑った。
「んー、どこから話そうかな」
「……紅葉さんが言いたいように話せばいいですよ。話したく無いことは聞かないので」
妖斗がそう言って笑った。
「……ん。俺さ、生まれつきこの顔だったんだよ。小さい時からやたら女が寄ってきて、バレンタインの時はチョコを30個くらい毎年もらってた。そんな俺の顔と体を、父親は利用したんだよ。
レンタル彼氏って知ってる? 客から金をもらって、彼氏のフリをすんの。
父親は中2の時から俺にそれをさせてた。ギャンブル好きで、金に飢えてたから。……俺は中2になる前まで、父親から暴力を受けてた。暴力をしてきたきっかけは知らねぇ。物心着く前からされた。……母親はどんなにやめてって言っても俺に暴力を振るう父親に愛想をつかして、俺が10歳のときに家を出た。……俺と一緒に逃げてはくれなかった。俺はその理由すらも知らねぇ。
俺は中2のときに、『暴力をやめてやるから、レンタル彼氏をやって金を稼げ』って言われたんだ。まぁそれで、断れるはずもなくてさ……」
言葉を失った。
とっさに頭によぎったのは、初めて見た妖斗の姿だった。
紅葉さんは、妖斗みたいなことを無理矢理やらされてたのか……。
「……毎日のようにデートさせられたから、外食ばっかで栄養偏りまくったんだよ。客からのLINEとか返信しないとで睡眠もあんまとれなかったし。それで虐待のせいで弱ってた体がさらに弱って、無精子症になった」