ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
「紅葉さん……」
酷い内容にゾッとした。妖斗も俺が見つけてなかったら、紅葉さんみたいになっていたのかもしれない。
子供を産めないなんて、あまりに悲しすぎる。
「……最初はホストなんて馬鹿らしいって思ったよ。それに親父に生きてるのがバレたら、終わりだと思った。
でも、そしたらアイツいったんだ。バレたら逃げていいって。バレるまででいい。追わないから、バレるまでここにいろって。
そんな風に言われたの初めてだった。親父は俺を商売道具としか思ってなかったから、いつも早く帰ったら殴られてたから。
ホッとしたんだ、ここにいろって言われただけで。
……学生をホストとして雇うなんて普通じゃない。そんなのわかってたよ。でも、普通かどうかなんてどうでもよかった。そんなのどうでもいいから、居場所が欲しかったんだ」
人は壊れてしまう。誰かに必要とされなきゃ。
そうでないなら、あの日俺は父さんから逃げようとしなかった。
それに、本当は俺や翔太さんがしてることだって、美桜と同罪だ。
妖斗や翼咲を拾った時点ですぐに警察に届けることも出来た。
きっとそれが、一番正しい選択だった。
でも、俺は敢えてそれをしなかった。大人なんて信用できないから。
信用できる大人は、翔太さんと優姫さんと空我先生だけだ。