ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
貴方で良かった~紅葉side。
「……陽太、今日の金」
そう言って金を請求してくる親父が、心底嫌いだった。
門限はない。でもそれは、帰ってくるなっていう意味だった。金を貰って、その金に見合った仕事が終わるまで帰ってくるなということだった。
例えば、客と喧嘩して帰らざるを終えなくなったとしても、じゃあ今からほかの客を探せと言われる。
見つからなければ帰ってきていいと言われるが、客と喧嘩したのを責められ、殴られるのがオチだ。あるいは殴られなくても飯を抜かれるか、クローゼットに閉じ込められるか。ひどいときはいまあげたのを全部やられる。
レンタル彼氏をするなら暴力をやめてやるというのは、嘘だった。正確には、『レンタル彼氏の仕事を完璧にこなすなら、暴力をやめてやる』ということだった。
――俺は、父親に騙された。
父親は俺に無茶振りしか命令しなかった。
でも美桜はそうじゃなかった。
あいつは、美桜のいるマンションにいつもいていいって言ってくれたから。
追い出さないっていってくれたから。
……俺は、あいつを嫌いになれないんだ。