ネェ、オレヲアイシテ?Ⅲ~Promise or Secrets~
美桜の家で暮らすようになってから1ヶ月くらいした頃、LOVEに連れていかれた。
「ここって、なんですか」
「あ?ホストクラブだよ。紅葉、そんなに暇なら金稼げ」
裏口から中に入ると、そこは店内ではなく、スタッフの休憩室に繋がっていた。美桜はその部屋の右端にあった黒い棚から誓約書を出し、それを俺に押し付けた。
「……俺がいたら潰れますよ」
高校生雇うなんて犯罪だろ。
「陽太って名前にしなければバレない。それに、誰が考えるんだ? 高校生がホストクラブで働いてるなんて」
そう言われた瞬間、この人に拾われたのは間違いだったと思った。
それでも、もう後には引けなかった。
学費も食事もただ貰ってしまっている居候の身で、断れるわけない。
「……そうですけど、もしレンタル彼氏やってた時の客にバレたら」
レンタル彼氏の客にホストをやってるのがバレたら、そいつになんで辞めたのか聞かれて、病気のことを話す羽目になるんじゃないのか?
それは嫌だ。
「バレたら逃げていい。バレるまででいいから、ここにいろ。俺はあんたと働きたいんだよ」
頬を描きながら美桜は言う。
そう言われただけで泣きそうになった。ここにいろなんて言われたの初めてだったから。
いつだって帰ってきたらリビングを追い出され
、部屋に閉じ込められるのが当たり前だった。
父親はいつもここにいるなって俺に遠回しに伝えてた。
誰かにここにいろって言われるようになるなんて、全然想像してなかったんだ。