甘いものには毒を
「これは…」
衣服がいたって普通か、少しボロい格好をした男を眺め、袋に中身と交互に交わす。
「ええ、偶然。宝くじが当たったもので」
自信に満ちた笑顔を見せる男を遠巻きに見るように顔をしかめはじめた。
「それで、お前の望みはなんだ?こんなに大金をここに持ってきて」
「ここからが本番なんです。
実は。恋人を対象にしたトーナメントを行いたいんです」
「勝手にすればいいだろ?このお金を賞金にすれば食いついてくる恋人はいくらでもいる」
「それが普通の競技でないんですよ」
「は?」
「実は…世の中にはリアじゅう爆発しろっていう言葉がありましてね、それを実現しようと思っているんですよ」
「何をバカなことを…実際に爆発なんかしたら人殺しになるだろう」
「そう、人を危める、ゲームなんですよ」
ニッコリとした笑顔を固定し普通ではあり得ない話を続ける。
「もう2月14日…世の中はバレンタインで浮かれています。それを覚まさせるためのゲームを考えましてね」
「…お前も悪いな…」
ヤクザのボスがそう言い、少し怪しい笑顔をこぼすと加担するという意味なんだと男は解釈をし互いに熱い握手を交わした。
「これからがきっと面白いことになりますよ」
「この目でどんなことが起きるか、楽しみにしているよ」
互いに成功の意味を掲げ、ニンマリと怪しい笑顔は悪人の表情をしているとたぶん他人がみればそう思う笑顔だ。
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