そばにいさせて~クールなあなたとのセカンドストーリー⭐番外編追加⭐
プロローグ
プロローグ
「だ、誰か・・・・・・」
熱くて黒い煙に巻かれている。
目の前をふさいだ長い柱が私の行く手を阻み、うずくまった私はどこを目指して進むべきかもわからない。
火の粉が迫る恐怖と戦いながら必死に瞼を開く。
だけど燻される煙のせいで目が痛くて少しも開けていられない。
一瞬でも開けてしまったら最後、涙が次から次へと溢れて止まらなかった。
さっき煙を吸い込んだせいか喉がひりひりと焼けつくように痛く、止めどなく出るむせ返るような咳が一層喉の痛みを刺激する。
「どこにいる!大きな声を出せ!」
バチバチと燃えさかる火の中で誰かの声が聞こえた。
喉が痛くてうまく声が出ない。だけど、今ここであきらめちゃ終わりだ。
私は喉から血が出ても構わないと腹をくくり、声を振り絞って叫んだ。
「助けて!」
そこからは記憶が定かじゃない。
うつぶせに倒れている私の腕を誰かに強く握られる感触と、動けなくなった私の体がすっと宙に浮くような感覚。
ヒリヒリとする頬にドクンドクンと激しい鼓動が触れている。
「あきらめるなよ」
僅かに緊迫した低音の声がその鼓動の奥で確かに響いていた。
木材が焦げ、鼻をつくような匂いの中に微かに甘いムスクの香り。
夢なのか現実なのかわからない空間で私はいつのまにか気を失っていた。
「だ、誰か・・・・・・」
熱くて黒い煙に巻かれている。
目の前をふさいだ長い柱が私の行く手を阻み、うずくまった私はどこを目指して進むべきかもわからない。
火の粉が迫る恐怖と戦いながら必死に瞼を開く。
だけど燻される煙のせいで目が痛くて少しも開けていられない。
一瞬でも開けてしまったら最後、涙が次から次へと溢れて止まらなかった。
さっき煙を吸い込んだせいか喉がひりひりと焼けつくように痛く、止めどなく出るむせ返るような咳が一層喉の痛みを刺激する。
「どこにいる!大きな声を出せ!」
バチバチと燃えさかる火の中で誰かの声が聞こえた。
喉が痛くてうまく声が出ない。だけど、今ここであきらめちゃ終わりだ。
私は喉から血が出ても構わないと腹をくくり、声を振り絞って叫んだ。
「助けて!」
そこからは記憶が定かじゃない。
うつぶせに倒れている私の腕を誰かに強く握られる感触と、動けなくなった私の体がすっと宙に浮くような感覚。
ヒリヒリとする頬にドクンドクンと激しい鼓動が触れている。
「あきらめるなよ」
僅かに緊迫した低音の声がその鼓動の奥で確かに響いていた。
木材が焦げ、鼻をつくような匂いの中に微かに甘いムスクの香り。
夢なのか現実なのかわからない空間で私はいつのまにか気を失っていた。
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